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脳神経外科

診療方針

脳神経外科では、生命の根源である中枢神経系と脊髄に対する外科的治療を扱っている。そのため治療法の選択には神経機能の予後を重視し、生体への侵襲を最小限に押さえ、かつ最大の効果が得られるようにしている。そのためには大規模臨床研究を中心とした医学雑誌のデータや、またコンセンサスの得られたガイドラインを各患者、疾患にてらし合わせ、治療計画を立てている。
診断面では、非侵襲または低侵襲の、CTscan、MRI、MRA、DSA、経頭蓋骨ドップラー、パワードップラーの血管エコー検査などによる術前後、また術中モニターによる評価が可能となってきた。これらの機器を放射線科や検査科の協力を得て、豊富な情報を総合的に評価して診断と治療に当たっている。

治療法に関しては、脳神経外科領域における手術支援機器の普及により手術の技術的進歩は著しく、手術用顕微鏡の導入をはじめとして、手術が安全かつ正確に行われるようになった。さらに超音波吸引手術装置(CUSA)、PAL、術中超音波システムの導入、また、電気生理学的モニターの導入により神経機能面からもより一層、安全性が高まった。また、最近の進歩の著しい血管内治療も積極的に取り入れ、安全性の高い低侵襲治療手技が可能となってきている。

疾患の治療に際しては、患者さん及びその家族に充分理解していただけるよう、疾患の原因、手術と手術以外の治療法、起こりうる合併症、一般的治療前後の経過などを説明し、インフォームドコンセントを重視している。疾患の種類によっては、いろいろな治療手段があり、患者さんよりsecond opinionを求められる場合は、最もふさわしいと思われるそれぞれの専門医に情報提供を行い、直接意見を伺ったりできるように紹介している。

最新のモニターを有するICCUにて脳波モニター、頚静脈酸素飽和度モニターのもと、重症患者や術後の管理を行っている。

1.脳血管障害

急性期診断にはCTscan、MRI、MRA、DSAなどの検査を緊急に行い、緊急手術を含めた治療が可能である。特に迅速な治療を要するクモ膜下出血や脳内出血の重症例では積極的に、迅速な救命処置あるいは手術を行い、根治的治療を行っている。

脳梗塞急性期では、rt-PAを使用したり、緊急にカテーテル検査を行い、適応を選んで閉塞部位の血栓を溶解して再潅流治療を行い脳梗塞を最小限に留めている。脳ドックで見つかった血管病変や脳卒中の予防を目的とした外科的治療には、頚動脈エコー脳血流ドップラー検査などで脳循環動態を総合的に評価し、慎重に治療手段を選択している。その際にはインフォームドコンセントを重視し、国内外の臨床試験の成績やガイドラインを元にした説明を行い、最終的には患者さん自身で治療法の選択をしていただいている。特に頚動脈高度狭窄病変では、病変の性質や患者さんの全身状態を考慮して手術的療法と血管内治療、内科的治療を選択している。術後や程度の軽い病変を持つ患者は定期的に頚動脈エコーや脳血流検査などの非侵襲的手法により検査を行い、外来診療において疾患の進行程度と予防的効果の成果を評価している。

頭蓋内血管の狭窄性病変で脳血流が減少している場合は、脳卒中ガイドラインに従い、EC-ICバイパスを考慮している。

脳動脈瘤では、個々の症例により治療すべきかどうか、また治療法の選択が異なるため特に未破裂例では動脈瘤自体の破裂の可能性と破裂した場合の神経障害、生命に及ぶ危険性や患者さん自身の年齢、全身状態さらに手術の危険性を考慮し、インフォームドコンセントを重視して治療を行っている。治療法においても開頭術によるクリッピングだけでなく血管内治療も積極的に取り入れている。

2.脳腫瘍

CTscan、MRI、DSAを用いた検査で総合的に診断し、低侵襲手術を行うため、超音波吸引手術装置(CUSA)、PAL、術中超音波システムなどの手術機器を導入し、活用している。

外科的切除術は治療の基本であり、手術用顕微鏡を用いて、より安全で正確な腫瘍摘出が可能となっている。また、ある種の脳腫瘍は切除だけでは不充分で、放射線療法、化学療法などで集学的な治療法の組み合わせを行っている。

放射線治療は従来の放射線療法だけでなく、腫瘍に焦点を当てたradiosurgery、サイバーナイフ、中性子捕捉療法の適応や治療の相談及び専門的知識を通した紹介及び治療の参加を行っている。

3.頭部外傷

1次救急から3次救急まで対応している。緊急検査はCTscan、MRIを迅速に施行し、重症度にあわせて緊急開頭術、穿頭術を行っている。

4.脊髄、末梢神経疾患

変形性脊髄症や椎間板ヘルニア、神経絞扼症候群など脊髄神経や末梢神経の圧迫による手足のしびれ、痛み、麻痺などの症状も積極的に治療を行っている。

診断はMRI、MRミエログラフィーや筋電図、神経伝達速度測定など非侵襲的検査を行っており、脊髄造影、椎間板造影のような侵襲的検査は最小限にしている。また、手術は手術用顕微鏡を用いて行っている。

診療体制

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荻野 英治
脳神経外科 医長
当施設の特徴

日本脳神経外科学会専門医訓練認定施設(A項)として脳神経外科専門医に必要なすべての疾患をとり扱っている。また、脳卒中認定教育施設として急性期治療だけでなく慢性期治療や予防的治療は外科的手法と、血管内治療を行っている。

救急医療

入院は常時可能で、緊急に対応できる検査、開頭手術を含む治療が可能である。
特に頭部外傷、脳卒中急性期では到着後直ちに治療が開始できるように努めている。さらに提携病院で発生した救急患者に関しても担当医師がモービルに同乗し、移動の際の急変に対応できるようにしている。
また、救急隊の教育と実践を目的に講義や症例の検討会を行っている。

診療実績

2007年1年間の手術数は135件、血管内治療は20件でした。
脳、脊髄腫瘍の直接手術 7件
脳動脈瘤、脳・脊髄動静脈瘤奇形の直接手術 15件
上記に準ずる手術  
開頭血種除去 5件
血管内手術 12件
血行再建手術 9件

診療内容の評価

入退院、術前、術後検査をマニュアル化したクリティカルパスを導入している。これにより患者さんの入院生活での治療を計画的に行うとともに検査内容や手術内容の説明をスムーズに行っている。またこれにより、検査の見落としや事故を未然に防いでいる。現在、検査入院、機能的脳神経外科手術、慢性硬膜下血腫、脳血管撮影にクリティカルパスを作成して、医療の標準化を進めており、順次脳卒中手術(CEA、ステント、未破裂動脈瘤など)開頭術に対しても標準化を目指している。

手術成績については平成11年7月に脳神経外科が開設され、それと同時に無菌的脳外科手術室が稼動し、術後感染症は最小限に納めている。術後の総合的評価として神経内科と合同に患者さんの術後カンファレンスを開き、問題点を明らかにしている。患者のプライバシー保護を充分に行った上、退院サマリーはまとめて、まれな症例や治療上困難であった症例は学会に発表している。患者の状態や回復の程度を診察し、問題の生じた患者には各科協同で治療に当たっている。

MRSAなどの院内感染を防ぐため多くの対策をしている。具体的には抗生物質の使用制限、患者の隔離、ガウンテクニックを施行し、院内感染を防ぐため各病室のドアには散布用消毒液を用意し、出入りの際には必ず散布するようにしている。

さらには重症患者や術前後の患者、免疫力の低下している患者には特に注意してMRSAの発生を防いでいる。またMRSA保菌者が発生した場合は、なるべく隔離を行って重症患者の入るICUやリカバリーより離している。

臨床研究のテーマ

  • 脳血管障害の血管内治療の開発
  • 脳血管障害のSPECT、3D-CT、血管エコーの評価

教育計画

臨床研修医及び脳神経外科専門医を目指す研修医はすべての手術と術前術後の患者管理に参加して、それらを習熟するとともに、脳血管撮影、血管内手術、ミエログラフィーなどの脳神経外科検査手技は前例に術者あるいは助手として参加し、手技の習得を目指している。

臨床研究は、脳神経外科関連の全国学会、脳神経外科地方会、脳血管内治療学会などに積極的に発表を行っている。これらの発表データは学会誌に投稿している。

将来計画

1. 低侵襲手術の開発

従来の方法と対比させながら血管内治療の適応を広げてゆき臨床データを集める。脳腫瘍、脳動静脈奇形に対してはradiosurgery、血管内手術の応用により、機能温存手術を目指す。

椎間板ヘルニア手術などは神経内視鏡の応用、経皮的椎体形成術(PVP)などの低侵襲手術を目指す。

2.医療標準化による治療の効率化

治療法のばらつきを無くし標準化することで各治療間の合併症、予後の違い、医療費について検討する。また、要求があればカルテの開示に応じるとともに、カルテ内容も一般に分かりやすくするように努める。

医療内容はインターネットを通じて情報公開し、e-mailなどで意見を取り入れる。

3.脳死臓器提供施設

脳死患者の発生時にはドナーカードと臓器提供の意思を確認し、臓器移植医療に積極的に参加する。そのために脳死判定をマニュアル化し、デモンストレーションを行っていつでも対応できるようにしている。

4.EBMの開発

エビデンスを立証すべく臨床試験に積極的に参加し、治療法の確立に努める。

5.介護医療への参加

慢性期患者の介護のために地域のかかりつけ医、リハビリ施設、訪問看護、老健施設と連携を密に行い、相互交流のために、連絡通信、症例検討会などを行う。

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